パパ・ユーア クレイジー / ウィリアム・サローヤン
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ウィリアム・サローヤン 著/伊丹十三 訳
10歳の息子と、ちょっと変わった父親。
ふたりで海辺に暮らしながら、
海のこと、月のこと、パンのこと、雨のこと。
目の前にあるものについて、あれこれ話していく。
父親は、息子に何かを教えてあげようとするわけではなくて、むしろ一緒になって考えて、驚いて、面白がっている。
読んでて、とてもとても良かった。
大人になると、海は海だし、木は木だし、
知っているものがどんどん増えていく。
でも本当は、知っているだけで、
ちゃんと見ていないものがたくさんあると思う。
誰かと一緒に暮らすということは、
そんな世界をもう一度見つけ直していくことでもあるのだろうな。
この本を読んでいて、
自分のこれからのことをよく考えた。
父という存在はまだわからないけれど、わかりたい、味わいたい、そんな思いがより芽生えた。
何かをちゃんと教えられる人になることよりも、
一緒に海を見たり、くだらない話をしたり、
「これってなんなんだろうね」と考えたり。
そういう時間を誰かと重ねていけたら、
それは結構、いい人生なんじゃないかと思う。
子育ての本ではないし、哲学っぽいわけでもなく何か立派なことが書いてある本でもない。
ただ、父と子が一緒に暮らしながら、世界のことを話していて、そこに生活やその人が見える。それだけなのに、こんなに美しいと思える。
私にとっては、これからの風景を少しだけ見せてもらったような一冊。
そして、この本は長いあいだ絶版になっていたものを、微花さんがもう一度、世に送り出してくれた本でもあります。
こうして今、このタイミングでこの本と出会えて、届けれてとても嬉しい。
微花さんはじめ、この本に携わった方々に感謝いっぱいです。大切に、届けていきたい。

